
音楽理論
自習の手引き
準備 ― 楽典
音楽の勉強を始めるすべての人が最初に取り組むもの、それが楽典です。
英語学習でいうアルファベットのようなもの。
難しく考えずに丸暗記するか、テキストを手元に置き、わからなければ辞書のようにその都度調べるとよいでしょう。
音楽を専門に勉強する人なら、早くて小学生から楽典を勉強し始めます。音楽大学の入学試験では、ほとんどの学校に楽典の出題があります。
楽典で学んだ専門用語が、音楽理論の各学問にもたくさん出てくるので、楽典の理解は必須です。
楽典の知識がついてきたら、入試問題集で力試しをするとよいでしょう。
和声
ただ音がランダムに並んでいるだけでは「音楽」として聞こえません。
わたしたちが普段耳にしているような「音楽」を作るには、和音の順番を守る必要があります。
その「決められた和音の順番」を勉強する学問が「和声」です。
日本のほとんどの音楽大学で用いられている和声の教科書は、「和声 理論と実習」の三冊です。
この三冊すべての解答が一冊にまとまっているのが別巻です。
クラシック系の音楽大学の作曲科を受験しようとするときは、3巻まで学習済みであることが理想です。
大学によっては、作曲科以外の学科(ピアノ、弦楽器、打楽器、歌など…)も2巻までは在学中に学習します。
日本の音楽大学では、バロック時代~ロマン派時代の西洋の和声を理解できることが理想とされています。
この「和声 理論と実習」は、戦後フランスに留学した教官と、ドイツに留学した教官が集まって、日本の和声教育のために編纂されたものです。
フランスやドイツでは、日本と異なる和声記号が使われています。
対位法
音がつながって旋律ができ、旋律が重なって合唱ができる…
対位法とは、「複数の人間がべつべつのきれいな旋律を歌っているのに、同時にハモることができる」
というような曲を作るために必要な技術です。
かえるの歌の輪唱を思い浮かべていただくと、わかりやすいと思います。
対位法、厳格対位法、古典対位法などいくつかの種類があります。
取り組み方は音楽大学によって異なりますが、代表的な本をご紹介します。
バッハが有名になった理由の一つに、彼の対位法の技術があります。
クラシック音楽を学ぶピアニストが必ず演奏するレパ ートリーに、バッハの平均律クラヴィーア曲集がありますが、二本の手で3つ、または4つの旋律を同時に弾きこなす訓練に用いられています。
おわりに
ここに掲載した学問は、ほんの一部です。
ただし、これらの多岐にわたる学問は、音楽をそれぞれの小さな要素に切り刻むことが目的ではありません。
人々が音楽を理解しようとした方法論の歴史です。
算数を解くように問題を消化するだけではなく、ぜひ楽譜を見ながら音楽を聴いてください。